2014年08月25日

易経に学ぶファシリテーション(17)

■ファシリテーターとしての第三段階「乾タ(けんてき)」

 師からコピーをするように身につけた技に磨きをかけるのが、この「君子終日乾乾(くんししゅうじつけんけん」の段階だそうです。「君子終日乾乾」の「乾乾」は、積極的に前に進むという語が二つ重なっているのです。積極的に前に前に進み、できることを果敢に取り組みなさいという教えだそうです。朝から晩まで繰り返し邁進して努力をするステージです。

 しかし、いつもうまくいくとは限りません。一日の終わりに、今日の自分をふりかえり自分が行ったことを本当にこれでよかったのか、うまくいっても反省しながら自分自身を育てる時期でもあります。基本をマスターした龍は、繰り返し基本を実践しながら、自分の足りないものは何か、自分をよりよくするためには何ができるのかを探求する段階なのです。

 師から学んだ基礎をいかに応用の場の中で活用できるかを挑戦しながら、失敗をふりかえり、また成功であってもふりかえり、学び続ける姿勢が備わるかどうかが大きな課題ではないかと思います。それは、時には、自分一人ではふりかえれない時には、他者からのフィードバックも貴重なふりかえりのデータになるのだと思います。いかにふりかえりの視点を身につけるかもこの時期、大事なポイントのように思います。

 前回、学生からの私への「喝」と書いたのは、南山短大人間関係科のカリキュラムで、短期大学卒業間際に卒業合宿というのがありました。その企画の中で、学生投票による教員ワースト10を選ぶ企画があり、ワーストワンに津村が選ばれたのです。これは、正直ショッキングな出来事でした。いまから思えば、教員にとってみると、厳しくつらい企画ですよね。良い意味では、津村は、そんなふうに選んでも大丈夫な教員、そのようなネガティブなことも言える教員であったといえるのかもしれません。しかし、この強烈なフィードバックは、私の教育現場での自分の姿を考える良い機会になりました。なぜ、私がワーストワンなのか?学生に聴くと、「先生が何を考えているのかわからない!」、「先生との距離を感じる!」というようなことを話してくれました。

 その中で、ハッとしたのです。この職に就いた頃、特に最初の非常勤時代には、疑問に感じて人間関係科の教員に反発をもって学生の見方をしていた私が、この時期には逆にその時に反発を感じていた行動を当たり前のようにしていたのです。それは、学生が質問を教員にすると、当時、老練な先生方は、「君はどう思いますか?」と応答していたのです。そうした応答に、若かりし頃の津村は、「なんで答えてあげないのですか?」と文句を言っていたのです。せっかく学生が質問しているのに、それに答えずに、質問で返すという行為、このことに腹を立てていたのです。それが、体験学習のファシリテーターは、教えるのではなく、気づくこと、気づきを促進することなのだと理解すると、多くの教員がやっているように、機械的に「君どう思う?」と質問で返していたのではないかと思います。その応答は、津村の考えを述べるわけでもなく、しっかり今起こっている状況を説明するわけではないので、確かに、津村の考えていることはわからず、津村との距離も遠くなっていったのだろうと考えました。それからは、そのような応答ではなく、できる限り自分の考えていることや感じていることもしっかり伝えるようにしたものです。

 ラボラトリー方式の体験学習のもう一人の私の師と仰ぐ、星野欣生先生(南山短大名誉教授)の存在も私に大きく影響を与えてくれました。星野先生は、いろいろな教育現場に連れて行ってくださいました。企業の研修、看護医療の世界での研修、その他かなり幅広くお供をさせていただいたり、後にはいろいろな現場を紹介してくださり、失敗を重ねながらも、ラボラトリー方式の体験学習のファシリテーター体験を積むことができました。まさに師から学んだ基礎を応用する場面をたくさん星野先生からいただけたのです。そして、今も星野先生からは学んでいます。

 このように、自分と学習者との関係や学習者の学びの促進の仕方などをふりかえることを行い、私のファシリテーターとしての礎ができていったのではないかと考えています。まさに「乾タ(けんてき)」の時代を過ごしたのではないかと、回顧しています。

 さらに、私をファシリテーターとして自由に動くことを可能性させてくれたのは、米国留学とTグループの参加者体験、そしてトレーナートレーニングの研修参加でした。
posted by つんつん at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 易経とファシリテーション