2011年01月12日

1月29日(土)Dr. Marchakを招聘して公開講演会「ODとは何か?」を開催

2011年1月29日(土)午後6時〜午後8時南山大学名古屋キャンパスDB1教室にて、Dr.R.Marchak氏を米国より招聘して、「組織開発(OD)とは何か?―起源と哲学、その可能性―」と題して公開講演会が開催されます。

今日は、そのMarshak氏の講演会の資料であるPPTファイルの日本語訳を行いました。なんとか60枚あまりの資料の日本語訳を終えることができました。

甲南大学の西川先生がすでに、ODNetwork主催の同様の講演会の資料をすでに日本語訳してくださっていたので、非常に助かりました。
少しでも聴衆がわかりやすい日本語になればと思い、努力をしましたが、なかなかスマートな訳をつくることはなかなか難しいですね。

まだ、公開講座の申し込みの受付はしています。下記のURLから申し込みができます。
ぜひ、ご参加ください。

http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/NINKAN/koen/

Dr.R.Marchak氏は、1月19日(水)に日本に到着されます。そして、21日(金)に清里に私どもとともに移動して、22日(土)から28日(金)まで、組織開発ラボラトリーワークショップ「Dealing with Covert Processes(隠れたプロセスを取り扱う)」を行います。6泊7日と長丁場ですが、きっと充実したワークショップになることと思います。

こちらは、満席ですが、ワークショップの期間、Twitterとこのブログで、できる限り報告をしたいと考えています。
楽しみにしてください。

2010年03月18日

昨日、清里開催のTグループ研修よりかえってきました!

久しぶりの書き込みです。何度か、訪ねてきていただいた方もお見えだろうと思います。すみませんでした。

合宿の初日から、毎日書き込みを考えていたのですが、初日(準備)の日は、居室からの無線ランが機能しておらずブログの書き込みを行うことができませんでした。

その後、無線ランでHPにアクセスするエリアがあったのですが、なかなかブログの書き込みまで行きませんでした。それだけ、忙しく、そして夜のミーティングも結構時間をかけることになりました。

今回は、Tグループ研修として幾つか新しい試み、もしくは、古くて新しい試みを意識してみました。

まず、初回のミーティングから津村が進行役をする際のミーティングは、すべてマインドマップを活用して行いました。結構、幅広くアイデアが展開することとともに、アイデアの整理もしながら、ミーティングの進行を促進することができたのではないかと自画自賛しています。

次に、参加者に、開会の時に、1週間の目安となる日程表を提示したことです。これまで、毎回・毎夜のミーティングで、最終の翌日のプログラムが決定されることから、全日程表をあらかじめ、目安としても示すことはしていなかったのですが、参加者に、ある程度何があるか不安がらずに参加してもらうために、全日程表の目安を渡すことにしたのです。

3つめの、プログラムの新しさは、小講義(認知的な枠組み)を積極的に活用することを試みました。

最初の全体会で、「コンテントとプロセス」の話をしてプロセスの理解を深めていただく、また、人間関係研究センターの講座に初めて参加する人も見えて、少しでも研修に関して共通の認識をもっていただくこ都が大切であろうと思い、このようなプログラムにしました。

翌日には、「自己開示と成長のためのフィードバック」として、JOHARIの窓の話をしました。参加者のみなさんは、星野先生のお話に興味をもって耳を傾けて下さっていました。

最後の日の全体会には、体験学習の循環過程について、津村が描いたマインドマップをご覧頂きながら、学習の好みと成長に関するお話をしました。

そして、閉会では、「Tグループとは」と題して、・歴史、・価値、・特殊性、・学び といった4つの視点から、お話をしました。最後の最後のところでの小講義にも関心を持っていただけたのではないかと思います。ホワイトボードに、メインブランチと次のブランチくらいまで、描きながら、話しました。

そのもとになった、マインドマップが下の図にあたります。
もし、Tグループ参加のみなさんが、このブログをご覧になられたら、カラーバージョンでこのファイルの資料をプリントアウトされると、私の話のメモとして使えるかもしれません。聴いていただいている参加者の中には、マインドマップに関心をもたれている方も見えて、私の話を書きながら、ご自身がマインドマップに仕上げられていました。

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無事に、帰られ、日常の生活にリ・エントリーされていることを願うばかりです。そして、少しずつ、周辺に変革が起こり、民主的な風土の種が全国に散らばっていくことを願っています。

今日は、これから、我が学科の卒業記念パーティが開催される予定です。Tグループ参加者はご存じの歌をお祝いに曲として歌ってくる予定でいます。

2010年03月09日

Chuckさんのグループプロセスコンサルテーションワークショップ第6日目最終日

Chuckさんに来て頂き、グループプロセスコンサルテーションのワークショップを終えてから、早2週間が経とうとしています。参加者の皆さん方はいかがお過ごしでしょうか?とても、私にとっては刺激的な1週間のワークショップでした。

Chuckさんの提供されるプログラム、グループプロセスコンサルテーションの知識とスキル、そしてその考え方、強く興味をひかれました。また、特に、Chuckさんの参加者へのフィードバックのありようもすごく勉強になりました。一人一人の行動とありようを大切に扱われる暖かい姿勢に学ぶところがとても大きかったです。

最後の日の、マインドマップを掲載していませんでしたので、第6日目最終日の私の描いたマインドマップをご紹介しておきます。

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午前9時に集合し、チェックイン(ウォームアップ) をすませ、コア・グループごとにセレブレーション(祝福) の時をもちました。それは、肯定的なフィードバックを行うことを原則として。

10:40に集まり、このワークショップでの学びを応用するための計画を考える時間も持ちました。新しい3人組で、11:30まで。参加者の皆さんには、たくさんの可能性を見いだすことができたのではないでしょうか?

その後、アンケートをお願いして、閉会のセレモニーが行われました。
参加者にとって、主催者にとって、とても意義深い、ワークショップになったことは間違いありません。

2010年02月27日

Chuckさんのグループプロセスコンサルテーションワークショップ第5日目

今日は、土曜日。我が大学では、今日、明日と大学院の入学試験です。
直接関わる試験は明日なので、今日は、研究室で、残っている仕事の片付けでした。そして、少し余裕をもって自宅に帰り、あまりの暖かさに誘われて、家内とバーベキュータイム。久しぶりののんびり、ゆっくりの夕食をすることができました。

さて、ご報告の残りの仕事もと思い、表題の記録を公開しておきます。

2010年2月21日ワークショップ第5日目
午前:
リスキートリオの企画によるウォームアップから始まりました。音楽を聴きながら一人自由に時を過ごし、その後、今日の一言。チェックイン。

Chuckさんからは、今日の一日のねらいの提示。
コアグループによるプレゼンテーションの意味について、そして夜には、教育・アセスメントといったコンサルタントの初期のエントリーのステージで大事なステップを取り扱うとのアナウンスがありました。

9:45から一つのコアグループのプレゼンテーションが行われました。これまでのワークショップでの学びを生かし、グループへのGPCとしての介入の可能性を考えるとても意味深いアクティビティを提供してくれました。

プレゼンテーションの後には、プロジェクトについての評価の時間。大きな輪になり、参加者それぞれが体験したことを報告し合っていきます。このプレゼンテーションが影響を与えたことや学びに貢献したことなどを語り合いました。

11:00からはもう一つのコア・グループからのプレゼンテーション。自分たちのグループディスカッションの様子をロールプレイの形で提供して、GPCのボランティアを募集し、それらの体験から、GPCの選択肢を探るといった、とてもパワフルなプレゼンテーションを行ってくれました。その後には、もちろん評価のセッションがもたれました。

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14:00から、最後の3つめのコア・グループによる介入の筋トレとして、GPCの介入の可能性を探るアクティビティを行ってくれました。評価のセッションとして、アクティビティからインパクトを受けたことや学んだことなどを語り合いました。

その後、15:25からChuck氏による、小講義。「体験学習のステップ」、コア・グループとしてのセッションの歴史(旅)の話、その後、グループが凝集性をもつために必要なことなどが、語られました。そして、それぞれのグループのプレゼンテーションを通して、体験したことを全体共有として話がされました。

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夜の部では、GPCの活動として、教育とアセスメントのステップの説明を聞き、GPCとして、どのようにグループプロセスコンサルテーションワークショップを説明することができるか?クライアントとのやりとりを想定して、クライアントにGPCを理解してもらうためのアクティビティとしてロールプレイをして、体験をしながら、GPCの理解を深めるセッションとなりました。

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2010年02月26日

Chuckさんのグループプロセスコンサルテーションワークショップ第4日目

Chuckさんのグループプロセスコンサルテーションワークショップから名古屋に帰ってきてから、毎日がとても清里の世界とは別世界で過ごしています。とにかく、会議会議の世界が続いています。会議の後に、また生まれるミーティング、・・・プロセスを見るよりも、タスクを追っかけるというよりも、生まれいずる問題を解決することに追われる日々です・・・

22日ワークショップが終わり、もう今日は、26日と4日も経過してしまっています。

今、私の目の前でやらないといけないことは、日本教育心理学会年報の記事の校正と、人間関係研究センター紀要の巻頭言、そしてセンターの研究会の資料づくり、さらに、3月4日から始まるアドバンス体験学習講座の資料づくり、目の前の仕事を見上げると身体と気持ちが動かなくて・・・困っています。

とにかく、ワークショップの報告も中途半端な状態なので、最後の日まで紹介しておきます。今日は、第4日目のプログラムです。

2010年2月20日の第4日目のワークショップ。午前:
朝集まって、参加者の企画によるウォームアップ、身体を動かしストレッチ。8つのタイプのストレッチから始まりました。

次にコアグループごとにアクティビティを行いました。タイトルはレゴアクティビティ(この元のタイトルは、レゴ・マン、1972)です。このレゴ・マンは思いがけず、このワークショップに出かける数週間前に、おもしろそうな実習なので、私自身がやってみたくて日本語訳していたものでした。Chuckさんにも話しましたが、まさか、訳したあの「レコ・マン」が、自分の目の前に、まさに現前と現れるとは・・・不思議で、驚き・・・

もちろん、グループプロセスコンサルタントをそれぞれのグループにおいて、実施でした。なかなか課題に集中する中での、プロセスへの介入は、難しい課題だっただろうと思います。このブロックモデルがこのような形で使用できることも、また新しい発見と体験でした。
実習の後には、Chuckさんたちがコレクションしたデータをもとに、小講義。興味深いお話でした。しかし、それも、実は、前述の邦訳の中に書かれていたものでした。

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午後:
午後は、コア・グループごとに、午後2時から30分ほど、レゴ・アクティビティのふりかえりを行い、午後2時30分から午後3時30分にコア・グループの第3回目、午後3時50分から午後4時50分まで第4回目の活動を行いました。

夜:
午後7時15分から15分ぐらい、レゴ・ブロックについて全体シェア、そして、午後7時30〜午後8時30分と、第5回目のコア・グループの活動が行われました。

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2010年02月19日

Chuck氏のグループプロセスコンサルテーションワークショップ第2日目

今は、2月19日(金)の午後6時少し前です。結構、慌ただしく時間が過ぎていっています。もっと、ゆっくり、時間を過ごせるかと思っていたのですが、なかなかそうは行きそうにありません。
事務局の仕事の合間、Chuck氏の「グループプロセスコンサルテーション」を横でそっといて、学ばせてもらっています。
学んでいる合間に、事務局の仕事をしているだけなので、十分に事務局として機能しているかどうかはわかりませんが・・・

一日遅れですが、昨日の第二日目の内容を少しご紹介しておきます。
朝一番に「チェックイン」が行われました。
昨日、一日の学びや気づき、気になっていること、また今朝集まってきて感じていることなどを、思い思いに伝え合うことから一日が始まりました。

その後、一日のねらいと日程の説明があり、午前の後半は、グループプロセスコンサルタントとしてクライエントと口頭の契約の内容を吟味し、参加者それぞれの契約内容を検討し、3人組で分かち合いを行い、自分の口頭の契約の内容を吟味しました。この契約が、今後のGPCの実践の際に、語り、契約をすることになります。

その後、タスクプロセス担当のGPC、メインテナンス担当のGPCと、それぞれ役割をとる人を決め、4名ほどのオブザーバーも決めて、30分ほどのグループワークに取り組みました。後で、オブザーバーから、またメンバーからそれぞれのGPCへのフィードバックを行いながら、GPCの働きのありようや、介入について学び始めました。

昼食後、この研修のコア・グループになる、6人、もしくは5人から構成されるグループを作りました。それぞれの意思で、3つのグループに分かれました。その後、各グループに分かれて、自分たちのグループの名前と最重要目標、そしてその目標達成時にこのようになりたいといったビジョンづくりを行いました。

60分の各グループでの話し合いの後に、全体会室に集まり、それぞれが話し合ったことを発表し合いました。

そして、明日からの朝行うチェックインの担当者を決めて、夕食に向かいました。

夕食後は、Chuck氏より、介入のタイプ(焦点づけ、タイプ、強さ)の説明がありました。その後、実際にGPCの練習のアクティビティを行いました。二人のGPC役と、4人のオブザーバー、4人の別の選択肢を考えるGPC役の人、その他の人がメンバー役となり、グループワークが行われました。

GPCの介入をめぐって、さまざまな角度からフィードバックが行われ、Chuck氏のコメントも挟みながら、GPCのありようを一歩ずつ学び続ける実感を持ち始めたように思いました。

それぞれの、午前、午後、夜のプログラムのマインドマップメモをアップすることにします。

午前の部
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午後の部
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夜の部
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2010年02月18日

Chuckさんのグループプロセスコンサルテーション講座第一日目

2010年2月17日(月)、清里の地で、米国からChuck氏を迎えて、「組織ラボラトリー:グループプロセスコンサルテーション(GPC)」のワークショップがオープニングしました。

私は、事務局という立場で、このワークショップをサポートしています。事務局スタッフとして、機能しながら、学ぶことはたくさんあります。
今朝、トレーニングルームの準備をして、部屋に帰ってきたところです。

昨日も、Chuck氏にとって、通訳をつけてのGPCのワークショップ。少し緊張感をもちながらの開会でした。簡単にGPCの紹介がまず、行われました。

無事、参加予定者の17名が集まってくださり、スタッフの自己紹介から始まり、参加者も簡単に自己紹介と、このワークショップに期待すること、成果として持ち帰りたいこと、そして、そのために、試みたいことを3人〜4人ほどで、話しながら、明確化と共有化を進めます。そして、全体のワークで、Chuck氏と共に、期待と目標を明確にしながら、このワークショップの一人一人の参加への契約を作っていきます。

その後、GPCの特徴的な要素を、一つ一つ丁寧に、Chuck氏が語ってくれました。

今は、十分時間がないので、私が、描いた午後のマインドマップと、夜のマインドマップを公開しておきます。

午後の部
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夜の部
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2010年02月17日

無事に清里に着き、会場のセッティングを済ませました!

朝、午前11時30分、大学を出発して、清里清泉寮に向かいました。
チャック氏と私も含めてスタッフ3名、4名乗車で、名古屋インターを入り、恵那サービスエリアでトイレ休憩、そして、駒ヶ岳サービスエリアで、遅めの昼食休憩。サービスエリアのメニューを見ながら、結局、チャック氏と私は、天ぷらそばを注文。上手にお箸を使われて、日本そばをおいしいと食べられました。

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その後、中央道を諏訪に舵取り、長坂ICで下りて、清泉寮に直行。
午後3時30分に到着。雪がちらつき、夕方には、少し強めの雪。
夕食時は、雪景色をみながらの楽しい夕食をいただきました。

夕食の前後には、会場のセッティング。日本語と英語の二つのパワーポイントをプロジェクトできるように、PCとプロジェクター、スクリーンのセッティング。
少しずつ、研修開始の雰囲気が生まれつつあります。

参加者を迎えての、グループプロセスコンサルテーションのワークショップ。
どのような展開になるか、わくわくしながら、参加者が明日、来られることをお待ちする次第です。

事務局のセッティングも終了しました。

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2010年02月16日

Chuckさん来日!そして、今日から清里です!

今日、清里に、Chuckさんと人関センターのスタッフと共に、向かいます。
清泉寮で宿泊し、研修を行います。私は事務局ですので、参加者の皆さん方が快適に研修に参加できる環境作りに励むつもりですが、どこまでできますか?

ネットの環境は宿舎内では、あまり良くないようです。
皆様方に、ライブ感をもった、研修風景をご案内できるかどうかわかりませんが、時間と環境が許す限り、アップをしてみたいと思います。

それでは、グループプロセスコンサルテーションの研修をお楽しみに!

万がいつ、アップできない場合には、名古屋に帰ってからゆっくりご紹介しますね!

2010年02月12日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(11)

本日、大学にて、来週のチャックさんの「グループプロセスコンサルテーション」の講座の資料ファイルの作成のお手伝いをしました。Reddyさんの「Intervention Skills」の著作がかなり中心的な資料になっているようです。ちらっとですが、そうした資料を見ると、ここで、このように書き込んでいることに尻込みをしてしまう私がいます。来週の講座に事務局としてお手伝いした後で、ゆっくり勉強し直し、再度、グループプロセスコンサルテーションの紹介をしていきたいと思います。

今日は、グループプロセスノームの発達について少しだけ触れておきたいと思います。前回に書きましたが、私たちのグループのメンバーに影響を与えるグループダイナミックスとして、グループノームがあります。このノームを見つけ出すこと、そしてそのノームを点検し、よりクリエイティブなノームを創り出すことができれば、グループは効果的になるのだろうと思います。

そのグループノームがどのように発達するのか、Reddyさんは、モデルを図示しています。それによる、

【メンバー個人の特性】と【組織文化】が、【グループの特性(nature)】に影響を与え、それが【課題の特性(nature)】に影響を与え、その結果【プロセスノーム:タスクに関わるノーム&メインテナンスに関わるノーム】が生まれると考えているのです。

【プロセスノーム:タスクに関わるノーム&メインテナンスに関わるノーム】を見つけ出すこと、気づくことが大切になりますが、それに影響を与えているであろう、以下の4つの要素の点検も必要になるのでしょう。

【メンバー個人の特性】
グループメンバーが問題解決や意志決定をする際に、個人のヒストリーやパーソナリティなどが影響するでしょう。FIRO-Bなどのパーソナリティテストなどによる認知スタイルや欲求などを点検することも一つの方策です。

【組織文化】
それぞれの組織がもっている文化が、グループに影響を与えることは十分理解できます。すなわちメンバーが行動したり思考したりするありように組織の文化が影響をするでしょう。

【グループの特性(nature)】
グループのサイズとか、メンバーの構成の仕方とか、マネージャーとかがグループの中にいるのか、グループへの参加の仕方は自発的か、グループの中にいる魅力は?などさまざまなグループに関わる要因がノームの形成に影響を与えることになります。

【課題の特性(nature)】
今やろうとしている課題は組織の中でどのような位置づけか?重要か?それともさほどでもないか?課題/目標は明確か、曖昧か?課題を達成する時間は?など、グループの課題に関わる要素のチェックも大切になるでしょう。

それらの要因が、今のグループのプロセスノームを創り上げていると考えるとよいと、Reddyさんは言っているようです。あくまでも私の理解ですが・・・

2010年02月11日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(10)

コンテントとプロセスの概念の理解、そして、タスクプロセスとメインテナンスプロセスの理解が重要なキー概念としてReddyさんは、取り上げています。

そして、さらに、プロセスにおけるノーム(規範)が重要なグループへの影響概念として提示しています。

グループのプロセスノームとは、暗黙の内にあったり、また明白に示されていたりしながら、グループのメンバーをある一つの一貫した行動に導かせる力をさしています。誰かに指示されなくても、自ずと繰り返しやってしまう行動がノームなのです。ミーティングに遅れてくる癖があるグループ、決定が遅いグループ、進展が遅いグループなど。

グループプロセスコンサルタントにとっては、こうしたノーム(規範)を明確にすることです。そして、そのノーム(規範)をグループのメンバーが継続することを望むのか、変革することを望むのかを決定することを支援することが大切な仕事になります。そして、グループにとってより効果的なノームを創り出すことが支援になるのです。

そのグループノームはどのように発展するのか、そのモデルを描いておくことも大切になります。Reddyさんは、そのモデルを提案しています。

次回は、そのことを考えてみたいと思います。

といいながら、今日はもう2月11日。南山大学人間関係研究センターの公開講座「組織ラボラトリー:グループプロセスコンサルテーション」の合宿集中講座が、2月17日より、始まります。私自身も、16日に清里(清泉寮)に向かいますので、実質、開催まで後4日になりました。それまでに十分な情報提供ができないかもしれませんが、継続して、グループプロセスコンサルテーション、プロセスコンサルテーション、などに関する情報は、気長にアップしていきますので、気長におつきあいください。

E.H.シャインさんのプロセスコンサルテーションも(2)

E.H.シャインさんの著書「プロセス・コンサルテーション」の第一章の終わりに、本書で示されている10の原則の内、シャインさんは5つの原則を提示されています。

1.常に力になろうとせよ。
2.常に目の前の現実との接触を保て。
3.あなたの無知にアクセスせよ。
4.あなたのすることはどれも介入である。
5.問題を抱え、解決法を握っているのはクライアントである。

そして、第二章の「援助関係におかえる心理力動(サイコダイナミクス)」という章を書き、コンサルタント(広くは援助者)とクライエントとの不均衡な関係、特に初期の関係を認識し、それをいかに対等な関係になるように相互の関係構築をするかが大きな課題であるという提案をしています。

援助関係のはじまりでは、援助する側が『ワン・アップ(一段高い位置)』におり、援助を求めている人は『ワン・ダウン(一段低い位置)』にいると述べています。

その相互の関係の中で起こることをしっかり捉え、対等な関係づくりを目指す必要が有るのだが、邪魔する反応や感情が起こっていますと。

クライエント側には:
・憤慨や自己防衛:私のことは、そう簡単にはいかない・・・など。
・問題を分かち合ってくれる喜び&安堵感:理解してくれてうれしい・・・など。
・依存感情:何をしたらいいですか?・・・など。
・感情転移:これまで出会った援助者役に立たなかったら今度の人も・・・など。

援助する側には:
・時期尚早な手助け(権威を用いて):こんな風にすれば・・・など。
・期待に応えた過剰な反応:それは、大変なことですね・・・など。
・自己防衛への圧力をかける応答:うまくいくのですから,私を信じて・・・など。
・関係構築への拒否:よくわからないけど、これをやってみたら・・・など。
・逆感情転移:前のクライエントと同じように応答・・・など。

こうした反応や感情を経験しながら、それぞれの当事者は他方をどのように受け入れることができるかを相互に確かめ合う、テストし合っているとシャインは言っています。

そして、この過程において大切なことは、「ゆっくりと時間をかけ、相互受容を高め、互いがより対等の立場になる方向で関係が移行していることを十分保証していくことである」と。

そのための重要な介入は、積極的質問を行い、援助自身の無知の領域にアクセスして、その無知を少なくしていく努力が必要になるのです。

シャインは、この章の最後に、「流れに身を任せよ」と記しています。

このことは、まさに両者それぞれと、両者の関係におけるプロセスに気づき、相互受容を目指したプロセスへの関わりをいかに大切にするかということではないかと理解しています。

小さな文字で見にくいかもしれませんが、私が描いた第二章のマインドマップです。

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2010年02月10日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(9)

やっと第一章の紹介が終わったわけですが、第一章のタイトルは「グループプロセスコンサルテーションて何か?」ということで、グループプロセスコンサルテーションの定義から始まり、そこに横たわる考え方、プロセスコンサルテーションの一連の流れ、プロセスコンサルタントの必要性、そして役割の識別が扱われていました。少しでも、私の拙訳をもとに、意訳も意訳ですが、Reddyさんが言いたいことが適切に伝えられているといいのですが・・・

来週、元NTLメンバーのChuck Phillips氏の『グループプロセスコンサルテーション』の講座に参加される方が読者の中に折られるだろうと想像しています。ぜひ、参加された方の体験から、このブログの記事の内容に対して、いろいろ指摘をしていただけると私の理解もさらに深まっていくだろうと思います。よろしくお願いします。

さて第二章は、「キー概念としてのタスクとメインテナンスプロセス」を巡って、第三章は、「グループプロセスコンサルテーションのフェイズTのエントリーについて」、第四章が「フェイズUのワークプロパーについて」を扱っています。まだまだ時間がかかりそうですが、ぼちぼちブログへの書き込みを進めていきたいと思います。

第二章には、グループの成功や失敗に影響する2つのキープロセスの概念の紹介がされています。グループプロセスコンサルテーションでは、グループが効果的であるということは、前にも書きましたがHackman(1983)が提示している基準を取り上げています。
○組織の基準(標準):organizational standaeds
○メンバーの満足感:satisfaction
○メンバーの好み:predilection
をどれほど満たすかが、グループが効果的であったかどうかの基準にしようということです。

その効果性に影響を与えるプロセスとして、2つの基本的なプロセスに焦点をあてる必要があると語っています。

概念を整理すると、コンテントと2つの基本プロセスということになります。

私はいろいろなところでこれらのことについて書いたり、話したりさせていただいています。

コンテントとは、生産物、成果、討議の要素、実際に提供されたサービスなど、なされた仕事をさします。コンテントとは、扱われる課題、解かれる問題、なされる決定、目標、目的などをさし、“what”といえるでしょう。

プロセスとは、グループがいかにして課題を達成しているか、達成しようとしているかに関わる視点です。手続き、ルール、グループダイナミクス、グループメンバー間の相互作用のスタイルなどを含めた課題や目標へのアプローチであり、“how”といえるでしょう。

Reddyさんは、コンテントを「ワード(歌詩)」で、プロセスは「ミュージック(音楽)」とおもしろい表現を使って説明しようとしています。

そして、プロセスにも2種類のプロセスがあると。
タスクプロセスは、グループがどのように課題を達成しよとしているかに焦点を当てるプロセスです。議題などのセッティング、時間枠の調整、アイデアや意見の創発の仕方、意思決定の仕方、問題解決のステップなどです。

メインテナンスプロセスは、グループの心理的な欲求や対人関係においてどのぐらい満足感を得ているかに関わる視点です。参加感や内包感や、影響関係:能動的・受動的、優勢・劣勢など、特別なメンバーの取り扱い、リスクテーキングをどれほど取ろうとするかなどの、種々のノームの形成など幅広い視点が含まれています。

一機に、大事な視点、コンテントとプロセス、タスクプロセスとメインテナンスプロセスのキー概念をお伝えしました。

次は、グループにとって、これも大切なキー概念になるであろうノーム(規範)の形成と影響を考えることになりそうです。

2010年02月09日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(8)

グループプロセスコンサルタントとリーダーとマネージャーは確かに異なります。グループプロセスコンサルタントはコンテントのディスカッションには口を挟むことはないのです。Reddyさんは、マネージャーがファシリテートする力をもっていたとしても、マネージャーである限り、プロセスコンサルタントとして効果的にふるまうことはできないと語っています。

このことは、私自身、いくつかの企業にメンタリングシステムを導入するためのお手伝いをしていましたが、その中で、メンタリングにおいて、いかにメンタリングの効果的なあり方、そしてメンターとしての行動の仕方を知っていたとしても、メンターがメンティの上司である限り、メンタリングカップルは効果的な活動にならないということを実体験としても十分理解できます。二つの役割の帽子をかぶることが難しいということです。そのことをしっかりと認識しておかなければいけません。

さて、話は戻ります。

ファシリテーターとグループプロセスコンサルタントとの区別はなかなか難しいようです。グループプロセスコンサルタントは、グループのすべてのミーティングに参加し、様々な深さで介入をするという【契約】をしているということです。この【契約】が重要な視点です。この【契約】のもと、グループメンバーの行動についてフィードバックを与えたり、メンバーがプロセスの諸問題に直面することができるように支援することです。

ファシリテーターは、1回限りのミーティングに出たり、マネージャーにカウンセリングをしたり、グループメンバーだけでない対象に関わることがあると述べられています。

最終的な識別の視点は、プロセス介入をするかどうかであると語られています。そして、プロセス介入がグループの最終目標到達にとって、効果的(effectively)で効率的(efficiently)であるかが大切になります。ファシリテーターやグループプロセスコンサルタントは、グループの活動に直接働きかけることはないのです。リーダーは直接働きかけることはあったとしても。ファシリテーションやコンサルテーションは先見の明があるはずです。グループプロセスコンサルテーションの視点は、タスクとメインテナンスのプロセススキルを学ぶことができるような働きかけをすることになります。

よって、グループメンバーへの働きかけが方向付け(direction)や指導(leading)は、効率的(efficent)であるが、長期的には効果的(effective)ではないことがあるのです。上記のような直接的な働きかけは、グループメンバーを依存的にしたり、無関心にしたり、また動機づけられないかもしれません。その結果、結果やプロセスに対するオーナーシップ(所有感)を得ることがなくなる可能性があります。

本当のグループプロセスコンサルテーションは、メンバーやグループにエンパワーを起こすとReddyさんは、強調しています。

やっと第一章の紹介が終わりました。

そして、次に、いかにプロセスに介入するかが大きな課題です。第二章に次回から入ります。

2010年02月08日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(7)

マネージャー、リーダー、ファシリテーター、グループプロセスコンサルタントと、いろいろな役割の名称があるけれども、どのような区別をすればいいのでしょうか?

Reddyさんは、メンバーシップを4つの基準から識別し、上記の4つの役割を分けようとしています。それは、メンバーシップとしてのバウンダリー(境界)が内部者か外部者か、そしてコンテントに直接貢献するか、心理的なメンバーかといった4つの基準です。

このお話は、実は、2008年7月19日(土)に「体験からの学びを深める教育ファシリテーション−ラボラトリー方式の体験学習を原点として−」と題して講演を南山大学で行った際に語りました。また、その講演内容は、「大学院の授業を聞きに行こう 南山大学連続講演会 講演集」(南山大学発行)で公刊されています。ご関心をもたれたら、これは、非常にマイナーな書籍ですので、私に直接ご連絡をください。

さて、話をもどします。

マネジャーは、課題の達成やプロジェクトの結果に責任をもっており、グループメンバーを公式に統制する立場です。マネージャーがいくらプロセスの知識やプロセス介入のスキルをもっていても、コンテントへの貢献が大切になります。よって、マネージャーは、グループ内部メンバーで、コンテントに貢献し、心理的な関係をもつ存在といえるでしょう。

リーダーは、グループメンバーから選ばれたとしても、あくまでもマネージャーからリーダーという任を受けて仕事をする者であり、課題や議題のセッティングや課題達成に向けて影響を与えることになります。リーダーは、会合を運営したり、タスク(課題)を達成するための専門的な知識やスキルを提供することを期待されます。4つの基準に従うと、マネージャーと同じ区別になります。

ファシリテーターは、Reddyさんの区別によると、一番あいまいな位置づけになっています。組織によっても、ファシリテーターの位置づけや役割は異なってくるでしょう。ファシリテーターは、メインテナンスプロセスに責任をもつように期待されることがあるものの、時にはリーダーと同様に、課題達成に責任をもつように期待されることもあります。それは、仕事の手続きや課題の機能に焦点を当てた働きを期待されるのです。また、しかし時には、メインテナンス機能にコメントすることも起こるでしょう。立場としては、グループメンバーの一員としての内部者であることもあれば、外から依頼を受け派遣された外部者であることもあります。ある企業では、コンテントに対して豊かな知識をもっていることを必要とされることもあれば、全くもっていない場合もあります。部外者であって、レギュラーなメンバーとして所属していないならば、心理的なメンバーシップをもたないことになるだろうとも書かれています。

グループプロセスコンサルタントとは、グループや一つのチームにずっと一緒にいると契約をした役割をもった人物であると言っています。少なくとも、会合には75%は出席をすると。今起こっているグループダイナミックスに対して、様々な深さのレベルで、タスクとメインテナンスの二つの機能に介入をする契約をしているのです。グループプロセスコンサルタントは、課題を達成することと、メンバーの満足感を満たすことの両方を支援することが仕事になります。Reddyさんは、メインテナンスプロセスへの介入がタスクの支援にもっとも効果的であると強調しています。結果として、グループプロセスコンサルタントは、メンバーとしては外部者であり、コンテントへの介入はせず、しかしレギュラーなメンバーとして、グループの中にいるかぎり心理的なメンバーシップをもつ存在であると述べています。

以上が、Reddyさんの語る4つの役割の識別です。

2010年02月07日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(6)

前回お話しした、フェイズTのエントリーはとても大事なフェイズになるようです。特に、初期ミーティングで基本的な考え方として、「グループがクライエントで、マネージャーがクライエントではない」ということです。そのために、教育ステージでは、グループメンバー全員と会うことが大切になります。そして、グループプロセスコンサルテーションをメンバーが理解し、グループに対するオーナーシップをメンバーがもてるように教育をすることが重要です。

フェイズU『ワーク(work proper)では、まず、環境セッティングが必要になります。環境セッティングでは、物理的な環境セッティングとともに、仕事に関する目標、また個人的な目標、関心に向けて探求するレディネスを高めるような環境セッティングがダ時になります。グループプロセスコンサルテーションでは、メンバーの役割や期待などを概観したり、課題の遂行と対人間の相互作用に関する規範の発達に焦点を当てるように問いかけをします。その結果、グループは自分たちのミッション、目的や目標を明確にするのです。

そして、介入のステージです。グループプロセスコンサルテーションの主たる仕事は、タスクとメインテナンスの両面のプロセスに介入することです。タスクは、仕事の構造や要素と関連しており、メインテナンスは対人関係や欲求・満足感などの社会的・情緒的な側面と関連しています。基本的に、グループプロセスコンサルテーションでは、コンテントの問題には介入しないのです。

2010年02月05日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(5)

Reddy氏の「Intervention Skills」の第一章に、グループプロセスコンサルテーションの一連の仕事の流れをフローチャートとして記しています。
そのフローチャートの大きなフェイズとしてENTRYとWORK PROPERの2つのフェイズを考えています。

===フェイズ T ENTRY===

CONTRACT【契約】
   ↓
EDUCATION【教育】
   ↓
ASSESSMENT【査定】
   ↓
-----BUY IN?【買う?依頼する?】-----
===フェイズ U WORK PROPER===
   ↓
CONTRACT【契約】
   ↓
CLIMATE SETTING【環境作り】
   ↓
INTERVENTIONS【介入】

といった一連の流れを考えている。

最初のCONTRACTでは、グループの代表であるマネージャーに会う段階でいあり、その後、グループが効果的になるためにどのような援助が必要であるかを話し合うENTRYのフェイズに入る。
特に、特徴的なのは、マネージャーや特定のグループの代表にグループプロセスコンサルタントが会うのではなく、対象となるグループメンバーの全員に会うというのである。

メンバー全員と会い、グループプロセスコンサルタントができることやできないことを含め、上記の一連の流れを伝えて、グループプロセスコンサルタントの理解をしてもらうことが、EDUCATION【教育】のステップになる。このステップで、グループプロセスコンサルタントとグループメンバーとの間に合意が得られたらASSESSMENT【査定】のステップに入るそうです。ここでは、グループメンバーが自分たちのグループの状況について情報収集をするステップです。

そして、グループプロセスコンサルタントが、仕事をしながらグループのプロセスフィードバックを行うことをメンバーが了解したら、具体的な契約書にサインをすることになるとのことです。

別の機会に、契約書の内容についても紹介したいと思います。

次回は、ステップ U WORK PROPER のフェイズについて、紹介します。

2010年02月04日

E.H.シャインさんのプロセスコンサルテーションも(1)

Reddyさんの「インターベンションスキルズ」の著作を手がかりに、グループプロセスコンサルテーションを議論できればとこのブログに書き込んでいます。

Reddyさんのお話の中には、E.H.シャインさんの「プロセス・コンサルテーション」の2冊の著作は紹介されることが多いです。このシャインさんの著作は、今年度、大学での授業でテキストに使い、マインドマップを受講生一人ひとりが描きながら、シャインさんのプロセスコンサルテーションを学んできました。

そこで、シャインさんの「プロセス・コンサルテーション」も時折、このブログでは、紹介していくことができればとも考えています。Reddyさん曰く、シャインさんのアプローチはマクロなグループプロセスコンサルテーションであり、Reddyさん自身のアプローチはミクロなグループプロセスコンサルテーションという言い方をしています。

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まずは、E.H.シャインの「プロセス・コンサルテーション:援助関係を築くこと」の第一章「プロセスコンサルテーションとは」をマインドマップとご一緒に概略を描いておきます。実際は、邦訳が出ていますので、そちらをご覧下さい。『プロセス・コンサルテーション:援助関係を築くこと」E.H.シャイン(著)稲葉元吉・尾川丈一(訳)白桃書房です。

マインドマップを描き始めて、1年足らずですが、なかなかイラストなど絵を書き入れることがまだまだできないですね。絵などを入れることで、ずいぶんマインドマップの印象も変わり、また、描いた内容の理解と記憶も遙かに深化するのだろうと思いながら・・・
マインドマップは、まだまだ修行の身です。

さて、内容は、シャインは明快に、まず「プロセスに気づくこと」の大切さを語り、そのプロセスを改善することが、組織開発(O.D.)の大きな仕事であることを述べています。

いかに「今ここ」に起こっていることプロセス、その現実を見ること・把握することができるか?これが、主たるテーマです。多くの場合、現実を見ることを妨げる要因(希望的観測、固定観念、予測、期待、など)があるからと語っています。確かに私たちは、期待や予測で物事を見たり、判断したりしてしまいます。昨日、書いたメンタルブロックの話もこれにあたるのでしょう。

シャインさんは、コンサルタントのモデルには、3つのタイプがあると彼は述べています。

情報−購入モデル:専門家モデルです。
クライエントは、調査などにより情報提供を求め、その情報・サービスに代価を払うのです。これが成功裏に終わることはなかなか難しいようです。

なぜなら:
クライエントが自らの求めていることが何かわかっているかというと?
それに対して、適切な情報をコンサルタントが提供できるかというと?
依頼するコンサルタントをクライエントが査定できるかというと?
コンサルタントが提供する知識を実施することをクライエントが考慮するかというと?
提供された情報など知識が、現実データの根拠があるかというと?

その代替モデルとして、プロセスコンサルテーションを提案しています!

もう一つは、医師−患者モデルです。
クライエントの問題を診断し、処方箋を出すコンサルテーションです。これもなかなか成功裏に終わることは以下の理由で難しいようです。

なぜなら:
問題を適切に診断できるか?
診断のための情報をクライエントからすべて開示してもらえるか?
医者・患者関係で、診断を素直にクライエントが受け入れるか?
診断をするプロセスも未知の影響を与えることになる?
医者に勧告された変更を患者が変更できるか?

その代替モデルとして、プロセスコンサルテーションを提案しています!

プロセスコンサルテーションとは、
クライエントが自分自身の内部や外部の環境の中で起こるプロセスに気づき、それを理解でき、行動できるような関係をクライエントと築くこと。そして、クライエント自身が定義した状況を改善できるようになること。とシャインさんは定義しています。

いわば、クライエントが自らの問題に気づき、理解し、改善・変化することを学習することを学ぶことを援助することなのです。
それは、「魚の釣り方を学ぶ」といった、アージリスやピーター・センゲなどのいうダブルループ学習の支援を指しているのでしょう。

Reddyさんのグループの成長、個人の成長も、やはりこうした学び続けるグループや個人という目標があるのでしょう。

そして、その原点には、ラボラトリー方式の体験学習、とりわけTグループがあることが十分推測できます。

2010年02月03日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(4)

グループプロセスコンサルテーションにおける効果的なグループになることを昨日書きました。成果とグループや個人の力の育成という言葉で書き換えてみました。

ちょうど、Reddyさんの記述にこのようなことが書かれています。

グループプロセスコンサルテーションの介入のポイントは、課題やアウトプットに関するものだけでなく、グループのダイナミクスやwell-beingに焦点づけられるのであると。また、Shein(1990)さんは、援助(支援)の一般的な哲学(考え方)は、コンサルタントの中心的な関心として、クライエント自身の能力の向上に向くことであると記しています。

そして、グループプロセスコンサルテーションを行うことで、グループの中に、プロセス介入を見て、その学びが内在化することができれば、グループプロセスコンサルテーション(コンサルタント)は、必要がなくなると考えているようです。まさに、Tグループセッションやベーシックエンカウンターで、セッションが進むと、トレーナーやファシリテーターの役割を背負った人間は必要がなくなると言われるようなことと類似していると言ってもいいのでしょう。

ただ、グループプロセスコンサルテーションでは、意識的に、グループに働きかける必要があり、やはりグループの中ではユニークな存在であり、ダイナミックであり、権威をもつこともあると。存在の影響力は大きいと言ったらいいでしょうか。そして、その介入に際して、状況を認知し、その状況に介入するすべての意思決定は、コンサルタント自身の歴史やスタイルに基づくものなので、自己知識(self-knowledge)が重要であるとも書かれています。

ここでの自己知識(self-knowledge)が単に自己理解ということばをさしているのか、もう少し他の意味があるのかは、Reddyさんの著書の中では、明確ではありません。

私自身が、1985-1986に米国マサチューセッツ大学で、学んできた自己知識(self-knowledge)という言葉を想い出しました。Weinstein教授のもとで学んできたSelf Science)の文脈では、自分が体験していることをどれだけ自分の言葉で語ることができるかという概念でした。まさに、昨日(3)で書いた体験をどのように認知できるかとも一致します。また、機会がれば、自己知識についてももう少し詳しく触れたいと思います。

2010年02月02日

Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(3)

グループプロセスコンサルテーションの哲学は、支援(helping)と協同(cllaboration)モデルに根ざしているというような言い方ができそうです。とにかく、コンサルタントは、ビジョンやミッション、またゴールに到達するさに効果的(effective)にまた効率的(efficint)にグループが動けるように支援することに焦点を当てることになります。

その「効果的に」を考える時に「効果的なグループ」とは、を、Reddyさんは、Hackman(1983)さんのレポートを参考にして語っています。そこでは、効果的とは、3つの次元から、@組織の標準を満たすか?Aメンバーの満足感を満たすのか?Bメンバーの好みを満たすのか?といったらいいのでしょうか?

それを、Reddyさんは、
(1)グループの生産性が、どの程度、質と量、また時間的な経過から基準を満たしているか?
(2)仕事のよって、将来の相互依存的に仕事をする能力をチームは獲得できているのか?
(3)グループ体験が、チームメンバーの成長や個人的なwell-beingにどれほど貢献できたのか?
これらが、グループが効果的に仕事ができたかどうかの基準にしようと言っています。

この3つの基準を私なりの言葉で考えると、
(1)グループの成果
(2)チーム力
(3)個人(メンバー)力
と言い方ができないかと考えたりしています。

(1)はまさに成果物であり、コンテントと言われるものといってもよいでしょう。その基準を明確、ビジョン、ミッション、目標、成果物の基準にそった評価が必要になるでしょう。
(2)チーム力と(3)個人力を考える際に、C.ロジャースの人間の成長の話を思い出します。人が成長するというのは、「私はだめな人間です」→「私は素晴らしい人間です」とか、「私は人の話が聴けないのです」→「私は人の話をよく聴くことができます」といったように肯定的な自己概念を形成することが成長ではないと彼は言っています。人が成長するのは、自分の自己概念と今自分が経験していることとがどのように一致するかが大切であると。まさに、今ここに起こっていることと私が私を見る姿とが一致したり、一致していなかったりと言った現実を見る目がもてることが大事なのではないかと考えてます。

そういう意味では、(2)チーム力とは、このチームはすばらしい、何でもできるチームだと言えたり、感じたりするだけではなく、今チームの中で起こっていることに気づきそのプロセスに対峙でき関わること(介入すること)ができることが大事なのではないかと私は考えています。(3)個人の力もしかりです。

今起こっているプロセスに気づきそれに関わり、グループや個人の目標に向かう力が育成されることがとても大切なプロセスコンサルテーションであり、教育という視点からは「プロセスエデュケーション」とよびたいと考えています。

もう一度、私どもの日常の仕事の点検や、またラボラトリー方式の体験学習によるトレーニングや教育の成果をかなえる時の指標として再吟味してみたいものです。